2015年4月24日金曜日

コンクリートの水分量

今回はコンクリートの水分量についてです。
 
先日、土間コンクリートの打設を行った現場があります(一部モザイクをかけてあります)。この現場はコンクリート硬化後、道路などに塗られている黄色線(トラフィックペイント)をその上に塗るのですが、その前にコンクリート中の水分量を測定しました。
 
一般的に、コンクリート下地の上に塗装や防水等を施工する場合、コンクリートの水分量が8%程度になるのを待ってから施工するのが望ましいと言われています。通常はコンクリート打設後概ね3~4週間待てば8%以下になるので施工できますが、そこまで待てない場合は、水分計で測定して確認の上、塗装等を施工することになります。
 
今回の測定機器は、ケット科学社製コンクリート水分計 HI-520-2 です。
 
コンクリート打設後1週間(3月下旬)で測定してみました。

1箇所目(上の写真の箇所の拡大)は9.5%です。

ちなみに別の箇所は5.2%でした
 
写真では掲載していませんが、他にも計測したところ、概ね5~10%程度でした。
同じ日に打設しても場所により水分が結構違うようです。
もう何日かすればどの場所でも8%を下回り、塗装等が施工できるようになりそうです。
 
水分量が8%を下回らない場合、絶対に塗装や防水ができないかというとそういうことではありませんが、塗装や防水を施工した後にコンクリート中の水分(水和反応後に残ったいわゆる余剰水)が上がってきて、塗装や防水層の膨れの原因となる場合がありますので、施工の際は注意が必要です。
 
とはいえこの水分計は15万円前後するので、購入するには勇気がいるかと思います。
弊社でも建築を25年ほどやっておりますが、今回初めて購入しました。
近くの方はお貸し致しますので、弊社までご連絡ください。
 
ちなみに弊社で今まで行っていた、水分計がない場合の簡易的な測定方法を下に記します。
 
測定する土間などの上にビニールなどを置き、四方を養生テープなどの水分を通さずかつ下地と密着するテープなどで覆います。
半日~1日程度経って、ビニールが水分で曇らなければ概ね良好です。
ただしあくまで簡易的な方法ということでご理解ください。
 

2015年2月24日火曜日

コンクリートカッターの刃の向き

今回はコンクリートカッターの刃の向きについてです。
工事などでコンクリートカッターを使用していると、使っているうちに刃の取付の向きを記した印刷が消えてしまったということはないでしょうか。
新品時に機械に取り付けたら刃がなくなるまで使うという場合は良いのですが、途中で別の刃に交換した後に再度取り付けする場合は向きが分からなくなる場合もありますよね。
(取付の向きに制限がない刃もありますが、マキタのこの刃の場合は向きがあるようです。)
 
これまで弊社では、消えかかってきたら油性ペンで再度書いてきたのですが、販売店の方にいいことを教えていただきました。
 
 
刃の取付状況です。(通常下向きで使用する場合は、写真に写っているよりも刃のカバーを45度程度左に回転させた状態で使用しています)
 


更に拡大した状況です。本体・切断刃共に反時計回りで使用するようになっています。



刃の部分を拡大したのがこちらです。刃の部分のダイヤモンドの粒が彗星のようになっているのが分かるでしょうか。実際触ってみると分かるのですが、左から右に向かって触ると引っかかりが感じられます。反対に右から左に触るとあまり引っかかりがありません。
 
 

この引っかかりでコンクリートを切っていくため、違った刃の向きで使用してもコンクリートはあまり切れないようです。

刃についているダイヤモンドの粒は、刃が減ってきても次々と中から出てきて同じような彗星の模様になるとのことなので、刃の側面に書いてある矢印が消えても、彗星の模様のことを覚えておけば大丈夫だそうです。

覚えておくといざというときに便利ですね。


2015年2月17日火曜日

高圧グリースガン

こんにちは。今回も重機関連の記事です。

皆さんも重機類の摺動部については定期的にグリスアップを行っていると思いますが、長年使用していない重機類や、ニップルが見えにくい場所にありグリスアップを忘れていたなどといった方におすすめの話題です。

弊社でも定期的に摺動部はグリスアップを行っておりますが、あまりグリスアップをしないためにグリスラインがさびてしまったと思われる箇所がありました。

その箇所がこれ↓ クローラー部分です。

クローラーのたわみが大きくなってきたので、ニップル(いわゆるクローラー調整ニップル)からグリスをさしてクローラーを張ろうとしましたが、クローラー部分については定期的なグリスアップ対象としていなかったので、長年使用している間にグリスラインもしくはシリンダーが汚れもしくはさびなどで閉塞・固着し、クローラーを張ることができなくなったと思われます。

ちなみにグリスの注入箇所はこちら

 
 
更に拡大(グリス注入前の写真なので汚れていませんが、ニップルからグリスが入っていかず、グリスが戻ってくる)
 

そこで用意したのがこちら
ヤマダコーポレーション社製「CH-650LL」です



社名が逆さまですがご了承ください 
 
 

通常のグリースガンですと最大圧力が20~30MPa程度のものが多い中、
こちらの圧力はなんと80MPa!恐るべき注入力です。

難なく注入完了(^_^)v
クローラーもめでたく張ることができました。
(ちょっと気合いを入れて張りすぎです。もう少し緩くてもいいかも)
 
 
グリスが入りにくい場合は一度に注入せずに、注入→走行→注入→走行、などの手順を繰り返すと良いかもしれません。
クローラーも自動車のエンジンオイル交換と同様に、定期的に緩めたり張ったりして中のグリスを交換するなどの整備をする必要があるかもしれませんね。


小松製作所の取扱説明書から点検・整備方法を下に抜粋します。
※張る場合も目安がありますのでご注意ください(多分張りすぎるとベアリングを傷めます)。
また、基準はメーカーや重機によって異なりますので、各機種毎の説明書でご確認ください。
 
説明書にもあるとおり、クローラーを緩めるときは先程の調整ニップルの外側の2番の部分を緩めて中のグリスを一度排出する必要がありますが、このときにグリスが勢いよく飛び出してきて、目に入ったという話を昔聞いたことがあります。整備の際は保護メガネをかけるなどの対策をして作業を行ってください。



2015年2月12日木曜日

油圧ショベルのブームシリンダー修理

記念すべき第1回目の投稿です。

ホームページを立ち上げてからブログに何を書くかいろいろ迷っていましたが、
先日油圧ショベルのブームシリンダーからの油漏れがひどくなってきたので、
それを修理した様子を書くことにしました。

メーカーにシリンダー修理(各所オイルシールの交換)を依頼したところ、
残念ながら材料・工賃共に予算を大幅にオーバーしたため、自分で修理することに。

材料(シリンダーシールキット)は重機関係の部品を取り扱う問屋さんから仕入れました。
純正と同等品ながら値段は純正の4割弱でした。
(一部メーカーでしか出していない部品もあります)


平成5年 コマツPC200-5型(0.7m3クラス) 22年選手ですが、まだまだ現役です
 
ブームシリンダーからの油漏れ状況
 
シリンダーヘッドのダストシール部分が傷んでいます
 
ブームシリンダーシールキット
 
シールキットの中身
 
 
作業開始です。
(作業途中で一部写真を撮り忘れたため、右側のシリンダー修理の写真と左側シリンダー修理の写真が混ざっていますがご容赦ください)

まず、油圧配管を解体します(破損や紛失を考慮して、油圧配管接続部のOリングを用意しておいた方が良いでしょう)。それと配管にかなりの圧力がかかっているので、作動油の噴き出しに注意。
目に入ると危険なので保護メガネを着用した方が良かったです。
あとヘルメットをかぶるときにはあごひもをしましょうね。
写真には写っていませんが、下にブルーシートを敷き、オイル受けのバケツを置いています
 
同様にグリス配管や灯火類も、予め解体しておきます。
 
シリンダーヘッドのボルトを外します。結構きついのでソケットレンチをパイプで延長して緩めます。
油圧ショベルの大きさによっては、シリンダーヘッドがネジ式になっているものもあるので、
その場合はフックレンチやパイプレンチなどでヘッドを外す場合もあります
 
シリンダーヘッドを外した状況
 
さあこのままロッド(+ピストン)とシリンダーケースを外して
シール類の交換にかかろうと思いきや、ケースが外れません。 
            ↓ぶら~ん

中をみると「カラー」という部品が引っかかっています。
シリンダーケースを回しても取れない、上下に揺さぶってみても取れない。
写真はとっていませんが、軽トラで引っ張ってもみましたが、取れない。
もしくは「カラー」なる部品の外側にネジが切ってある特殊な構造なのではないか、
など悩むこと1時間弱。

弊社の社員がどこかに電話して聞いたところ、特殊な構造ではなく、ただはまっているだけのはず、とのこと。ではゆっくりレバーブロックで引っ張ってみようということになりました。
(ちなみに引っ張って取れたとしても、後でどうやってはめるの、とここで少々悩む)
引っ張ってとれた時にシリンダーケースとロッドが落ちないようにクレーンで吊っています。
(ロッドに直接スリングをかけていますが、傷防止のためウエスなどをかませた方が良いでしょう)
 
やったー。とれました!

カラー、ピストンなどの様子。あまり傷みは見られません

ロッド先端のナットの状況。これがものすごく固く締まっているらしいという話は聞いていました。

じゃーん。そこで用意しておいたのがこれ。900mmのパイプレンチ。 

最初3人がかりで緩めようとしましたがびくともせず。別のショベルで慎重に引っ張ることにしました。修理する側のショベルから反力を取りながら、パイプレンチを延長してスリングをかけます。
(ナットが回ったときにスリングがパイプから抜けないように足場用のパイプで延長しています。また、ナットが傷まないようにウエスをかませています)

外したナットがこれ。緩まないように内側の一部が樹脂でできています。
本来は(ねじ山が若干緩くなるため)これも新品にする必要がありますが、えらく高いので(1個3万円弱)却下。元のナットを再利用することにしました。緩み止め剤のようなものも塗ってありました。

解体した部品は順番・上下を間違わないように保管 

ピストン部分がこれ。古い部品を外していきます

新しい部品に交換

奥のカラーについているテフロンのような白く見えるリング(バックアップリング)などは傷みが少なかったのと、(材質的に伸びないため)古い部品を外すと新しい部品を入れられなさそうだったので、交換していません。(もしかするとお湯などの中に入れて柔らかくしてからはめ込むのかもしれません)

シリンダーヘッド側の状況がこちら。
古い部品を外します。写真には写っていませんが、ダストシールを外す前に、金属製の外れ止めのリング(C型になっている)を外す必要があります。再利用が可能ですが、劣化していたり解体時に破損することを考えると予めメーカーから取り寄せておいた方が良いと思います(07179-13099 スナップリング)。ダストシールは金属と樹脂でできており、かなり固くはまっているので壊さないと外せません。

各種リング・シールを外した状況がこちら。この後ウエスで清掃します

今回問題となった新旧ダストシールの写真がこちら
(古いものは外すときにこじっているので真円ではありません)
かなり傷んでいたのが分かります

シール・リング交換後のシリンダーヘッドの状況がこちら
内側の下に見えるブッシュは傷みが少ないのと、交換に圧入機械が必要になるとのことで交換していません。

シリンダーヘッドの外側のOリングも交換
先程と同様の理由で白色のテフロンのようなリング(バックアップリング)は交換していません

一部シール類は交換しませんでしたが、交換できる部品は全て交換し終わったので、再度組立。
解体するときにロッド(+ピストン)とシリンダーケースが外れなかったので、組み立てるときも固いはずだと思いましたが、なぜか難なくはまりました。めでたしめでたし。
(ちなみにシリンダーヘッドをシリンダーケースにはめる際は、互いのボルトの穴の位置を合わせてからはめると手戻りがなくなります)

修理後のダストシールの状況がこちら。あと20年はもつでしょう(笑) 
 
 
写真では省いていますが、ここで最初に外した油圧配管類・灯火類・グリース配管類を復旧します
 
シリンダーのエア抜きを行います。
油圧配管を少し緩めて云々かんぬん、かと思いきや意外と簡単。
このシリンダーはシリンダーヘッドやカラー、プランジャーに穴やくぼみがついていて、シリンダーヘッド側にもうまく作動油が回る構造になっていました。(別の方が作成したHPを拝見しますと、メーカーや機種によっては組み立て前に予めシリンダーヘッドに作動油を封入する必要があったり、エア抜きの方法が異なるものもあるので注意してください)
 

エア抜きが終わったら、作動油の量の確認並びに補充をします。コマツの点検姿勢は下記の通りです。点検姿勢をとった状態でタンクに入っている作動油の量を確認します。
他メーカーは点検姿勢が異なりますのでご注意ください。


あとは各所グリスアップ、試運転をして作業完了です。

作業は3人で1本目の修理が3時間半、2本目の修理が2時間でした。
使用した機械は移動式クレーン車1台、油圧ショベル1台でした。
(あとワイヤー・スリング・シャックル・レバーブロック・ウエス・バケツ・各種工具類)
弊社ではシリンダー修理は初めてなので大変でしたが、重機をたくさんお持ちの方は1度経験しておくと良いかもしれませんね。


ちなみに今回の部品明細書です。作業後に撮った明細書の写真なので油で汚れていますがご了承ください。こういった明細書は今ではディーラーや修理工場の一部でしか入手できませんね。